おや、まあ!

 本やパソコンのある、わたしが仕事をしている部屋は、 西向きで、この時期、強い西日がさしこみます。エアコンはあっても、 えらく効きのよくない状態でした。 そこでキウイの葉を茂らせて自然カーテンにしたらと連れ合いが考え、 20年来、実のならないキウイに最後のチャンスをあたえて、 これでダメなら切り倒そう!と決心して、 枝を伸ばしたのが数年前のことでした。その結果、 すごい収穫があったことは、すでに書きました。

 キウイの葉は自然カーテンとしては効果抜群であることはよくわかりました。 難点は伸びすぎることです。きちんと剪定しておかないと、 どこに絡みつくか分かりません。しかもいったん絡みつくと、 どんどん太くなって、引きはがすのは至難の業です。10日ほど前、 いよいよ枝の剪定をしなければと、連れ合いにせがまれて、 剪定ばさみを持って重い腰を上げたのです。そのとき、外側からでは見えない、 わたしもまったく気がつかなかった場所(私の机の目と鼻の先!)に、 なんと一羽の鳩がみじろぎもせず卵を必死に暖めていたのです。 彼女は必死です。身動き無しですので、死んでいるのかとさえ思えました。 でも目はしっかりとこちらを見つめています。当然、枝の剪定は、そこまでです。 小鳩が生まれて、巣立ちをしたら、巣ごと撤去します。 でもそれまではわたしも息を潜めるように、音も立てないように気をつけるのです。

 そこにもう一つの事件が起こりました。 不思議なことに牧師館でコトが起こるのは、しばしば土曜日です。 わざわざ多忙を極めるこの日に、ことは起こります。 西日の差し込むわたしの部屋に古いエアコンがあります。長年使用して、 天井近くに設置してあるエアコン本体から真夜中、突然、水がしたたり落ち、 真下にあったコンセントが水びたしになって、一挙にパソコン、プリンター、 電気スタンドがダウンしたのです。コンセントを替えて、 電気器具類はほどなく回復しました。

 エアコンは長年使用しているもので、そろそろ寿命なのは分かっています。 買い換える事も、どうということはありません。けれど、問題は<鳩>です。 エアコン設置のために室外機を取り替えたり、 ダクトを交換するために業者の方が出入りしたら、 たちまち鳩は大きなショックを受けるでしょう。なんとか無事に、 小鳩が卵から出て、飛び立ってほしい。どうやら少なくも5−6週間は必要らしいのです。 私はそれまでエアコン工事を待つことにしました。 つまりわたしのこの夏は、仕事中、エアコンなしで過ごそうと決心したのです。 (居間のエアコンは健在ですから、問題はありません。)

 確かにキウイの自然カーテンがなければ、 そんな決断が出来るはずもありません。キウイが有るか、なしかで、 気温は決定的に違うのです。ただ母鳩の、まだ生まれてもいないヒナを思う献身ぶりに、 わたしは深く感動しました。剪定ばさみを持って、周囲の枝を落とし始めたわたしを見ても、 じっと身動き一つしなかった母鳩の勇気は見上げたものです。 何とか無事生まれて、育ってほしい。そうです。 もともとわたしは<ハト派>なのです。 エアコンなしで鳩を見つめ、少しは母鳩の勇気を見習いたいと思っています。

(2013年07月28日 週報より)


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