今週は信徒執筆です

神様にしかできないこと

 K.H.    

 私は中学生と話すことの多い仕事をしています。 以前関わっていた中学校のすぐそばに児童養護施設がありました。 児童養護施設といえば、親のいない子どもたちが住むところ、 というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。 確かに昔はそうだったのでしょう。しかし今は、親のいる子どもたちがほとんどです。 そして驚くべきことに、養護施設にいる子どもたちの約7割が、 親から虐待された子どもたちなのです。 虐待には、身体的虐待(なぐる、ける、やけどさせる等)、 心理的虐待(「死ね」「生まなきゃよかった」等の暴言や無視など)、 ネグレクト(=育児放棄:世話をしない)、そして性的虐待があります。 なかでも性的虐待は傷(トラウマ)が深すぎて、のりこえるのは大変困難です。

 私によく話しかけてきたその女の子も、 児童相談所の判断で養護施設入所となりました。 (父親はすぐ近くに住んでいるのですが、会うことは許されません。)  その児童養護施設では、日曜日になると職員も子どもたちも全員、 キリスト教会の礼拝に出席します。施設内に教会はなく、近隣の教会へと繰り出します。 一つの教会ではおさまりきらないため、二ヶ所に分かれて行きます。 その子はいつも、教会学校の先生がどんなに明るくて優しいかということ、 自分は教会に行くのが何より楽しみだということ(特に夏のキャンプは最高だそうです) を話していました。そしてある時こう言ったのです。 「私は死にたいと思っていたけど、今は生まれてきてよかったと思ってる。 神様がいるから」と。

 傷ついた子どもたちを癒そうと、福祉や医療や心理関係者は努力しています。 しかし、これほどみごとに癒すことができるのは神様だけなのだと、 はっきり教えられた瞬間でした。

(2010年06月13日 週報より)


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