今週は副牧師執筆です

電車に乗って

 小枝 黎子           

 今週、教区関係の会議出席のため久しぶりに多摩モノレールに乗り、たくさんの乗 客が乗り降りしているのを見ながら思い起こしたことがあります。

 この8月末、私達夫婦は長女のいるイタリアに行かせていただきました。普段二人 揃って家を留守にすることはあまりありません。ところがこの期間に次女の子ども、 つまり孫の未海ちゃんが珍しく具合が悪くなり、保育園を休まなければならなくなっ たそうです。私達が家におれば当然、世話することができたのですが、あいにく留守 で預ける先を考えなくてはならなくなりました。

 後から聞いた話ですが何と、この5才になったばかりの未海ちゃんを一人で電車に乗 せ、多摩センターの始発駅から終点駅の上北台駅まで一人で行かせたのだそうです。 もちろん、終点駅にはもう一人のバーバが待ち受けていたのですが。

 私は多摩モノレールに乗りながら未海ちゃんは乗車所要時間36分間どうやってこ の電車の中で時を過ごしたのだろうと想像しました。途中立川の駅などほとんどの乗 客が降りてしまうのによく降りなかったな。誰かに声をかけられなかったのかな。怖 くなかったのかな。淋しかっただろうな。

 多分、未海ちゃんは終点駅で待っていてくれる優しいバーバの姿が目に映っていたの でしょう。最後まで乗っていれば、大好きなバーバが笑顔で迎えに来てくれる。その 存在を信じて安心して時を過ごしたのでしょう。その証拠に持たせたジュースを飲ん だそうですから。余裕ありです。信じる者の強さとパワーを感じました。

 私は電車に揺られながら、私達の信仰生活も電車の乗客に例えることができるかも知 れないと思いました。終点にはイエスさまが笑顔で手を拡げて待っていて下さる。だ から途中真っ暗なトンネルを通っても、不安にならずに出口が必ずあると信じられ る。ガタガタゆれても、見知らぬ景色になっても不安と焦りを乗り越えられる。途中 下車の誘惑があっても持ちこたえることができるのではないかと。

[心を騒がせるな。神を信じなさい。そして、わたしをも信じなさい。わたしの父の 家には住む所がたくさんある。もしなければ、あなたがたのために場所を用意しに行 くと言ったであろうか。行ってあなたがたのために場所を用意したら、戻って来て、 あなたがたをわたしのもとに迎える。] ヨハネによる福音書13:1〜3

(2007年11月18日 週報より)


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